スタッフブログ

2022年10月10日

変化を迎え撃つ人材活用の極意 戦略的リスキリングとは?

寄稿者:廣瀬ツトム
1993年頃、MOSAICでwwwの表示画面を見て感動した。
さまざまな外資系IT企業、コンサルティングファーム、ビッグファーマなどのコピーライティングを行っている。

熾烈なグローバル競争とコロナショックの中、
いま、多くの企業が「デジタルトランスメーション:DX」への取り組みを加速させています。
あるいは、ノンコア業務のアウトソーシング化を検討している企業も少なくありません。
それらの取り組みは、企業を前進させるかもしれません。
しかし、同時に大きな課題を残すことになりました。
それは、活躍の場を失った従業員の処遇です。

苦労して獲得した人材を整理しますか?
それとも、「リスキリング」で貴重な人材を再活用しますか?

INDEX(目次)

  • 企業ITの変化
  • 求められるスキルの変化
  • 浦島太郎社員が変われば会社も変わる
  • 戦略的リスキリング、3つの要点

企業ITの変化

Q パソコン教室を受講しようと思ったきっかけは?

日本企業でのIT導入初期

1955年、日本の大手証券会社が国内で初めてメインフレーム(大型汎用コンピューター)を導入しました。
その後、多くの金融機関や大企業が、それに続くようにメインフレームの導入を進めました。
1980年代には小型の汎用コンピューターが中小企業のオフィスに導入されるようになり、勘定系/基幹系業務のIT化が一気に進展しました。
これらは、銀行の取引情報などの大規模トランザクションや、会計、人事、受発注情報などの定型的な業務処理に利用されました。
SoR(System of Record)と分類されることもあり、企業のバックエンド・プロセスを回す重要な役割を担い、現在もその機能を果たし続けています。

顧客を獲得するIT

こうしたバックエンドのプロセスとは別に、インターネットの普及やブロードバンド環境が整備されたことと相まって、顧客との関係構築や営業支援、販売チャネルの構築・運用などをコンピューターが支援するようになりました。
分散処理を前提とした、クライアント/サーバーモデルによるSoE ( System of Engagement )の実現です。

人工知能の可能性

さらに、機械学習やディープラーニングを応用することで自然言語を理解するようになったコグニティブ・コンピューティングは、従来のAIをはるかに凌ぐ能力を獲得し、分析・予測・推論の精度を飛躍的に高めました。
この新しいAIと画像診断機能を持つセンサー技術が組み合わされることで、IoTと呼ばれるデータの自動収集が可能になりました。
クラウドと呼ばれるデータセンターを経由することで、機器・設備の障害予知、顧客の購買行動の予測などを可能にしました。

ITからDXへ

また、近年企業での導入が進んでいるデジタル・トランスフォーメーション(DX)は、さまざまなビジネス・プロセスをコンピューターに自動記録させ、収集したデータを分析し、
そこから得た知見を、プロセスの改善や変革、新たなアイデアの創出を可能にするものとして期待されています。
DXによって、企業のさまざまな活動、バックエンド(基幹系)からフロントエンド(情報系)までをつなぎ、その情報資産を総合的、効率的に活用する変革のためのプラットフォームが準備されます。

求められるスキルの変化

メインフレームとプログラミング言語

初期のメインフレームでは、コンピューターに処理させるための元情報を手打ち入力する必要がありました。
入力業務を請け負う計算センターには、キーパンチャー/キーオペレーターなどと呼ばれる専任スタッフが数多く活躍していました。
またコンピューターに処理方法や手順を指示するプログラミング言語も、メインフレームやオフィスコンピューターではFORTRANやCOBOLあるいはメーカー独自の言語が利用されていました。

オフィスソフトの達人

クライアント/サーバーやクラウドを利用する環境では、一般的にワードプロセッサーやスプレッドシート、プレンテーションツールなどを利用することが多いと思います。
皆さんの会社にも「Excelの達人」や「パワポの達人」などと呼ばれる人がいるのではないでしょうか?
そうした「達人」に共通するのは、単にオフィスソフトの操作に長けているだけでなく、求める解答を導くために、どんな数値をどう集計し、いかにわかりやすく表示するか、
あるいはプレゼンテーションの要点をいかに論理的かつ直感的に伝えられるかを、具体的に表現できるスキルを持っているということではないかと思います。

DXとプログラミング言語

また、Webやスマホのインタフェース利用が当たり前になった現在の企業では、自社のオウンドメディアとしてWebサイトを開設したり、チャネルとしてのECサイトを開発・運用したりする例も多く見られます。
オフラインとオンラインの両方にわたる複数の顧客接点の情報を連携し、オムニチャネル戦略を最適化することを実践する企業も増えてきました。
そこで使われるプログラミング言語は、かつてのCOBOLやSQLだけでなく、CやJava、Ruby、PAP、Pythonなどが使われます。
企業システムのモダナイゼーションには、新しいスキルを持ったエンジニアやプログラマーが必要になります。

浦島太郎社員が変われば会社も変わる

浦島太郎は誰だ?

時代や変化に取り残されたのは、おとぎ話の浦島太郎だけではありません。
これまでのスキルが通用しなくなった社員、市場の変化に対応できない会社、そのどちらも、浦島太郎なのかもしれません。

恐怖の人員整理

グローバルな競争やコロナショックの只中にある多くの企業にとって、年功賃金や終身雇用を維持していくことは難しくなっています。
それでもなお、欧米を中心とした外資企業に比べ、日本の転職率は半分以下だと言われています。
リソースが足りなければ新たに採用し、ビジネスの変化で余った人材は契約を終了する。
こうした、「足りなければ足し、余れば削る」という方法は、日本の慣習にはなかなか馴染みません。

成長のための玉手箱

だとすれば、どんな解決策があるのでしょうか?
変わらなければ成長が見えてこない会社と、変わらなければ自身の価値を高めることができない社員にとって、時代の変化をしらしめ、未来への道をガイドする玉手箱は、どこにあるのでしょうか?

戦略的リスキリング、3つの要点

ビジネス戦略と人材戦略

企業が現状の危機を抜け、次代の成長に向けた戦略を立案するとき、企業活動全域をデジタル化する、新たなビジネス基盤の構築が検討されます。
そして、このDX推進を成功に導く重要なカギが、人材戦略です。

DXと人材

企業の新たな成長→DXによるビジネス機会の拡張→DXを推進する人材
つまり、リスキリングの戦略的展開が、いま、企業に求められています。
リスキリングを戦略的にとらえることで、場当たり的な人材採用/整理から抜け、ビジネス戦略に応じた継続的なスキル確保が可能になります。

それは、社員の現有スキルや必要となる新たなスキルについて調査し、可視化するところから始まるかもしれません。また、社員一人ひとりの仕事に対する誇りやモチベーションについても、慎重に聞き取りを行う必要があるかもしれません。

戦略的リスキリング、3つの要点

DXとともにリスキリングに取り組む企業も増えています。
一般的には、以下の3つの要点を踏まえて進められることが多いようです。

 

1.スキルデータベース/スキルマップの作成

現有スキルと将来必要なスキルの双方を可視化

2.リスキリングのための学習環境の整備

教材や特典(認定証、手当)、インターンシップ制度等

3.抵抗者への対応とモチベーション確保

リスキリングの必要性を本人に理解させる、モチベーションを維持できるようサポート

 

現在、リスキリングへの取り組みは世界的な潮流になっています。

特に就労人口が急激に減少している日本の企業にとって、リスキリングは、現状を打破するための重要な成功要因だと言えます。

貴社の状況はいかがですか?

リスキリングのための実践的な社員研修、人材育成についてはこちら(https://www.winlearning.jp/ )を参照ください。

まとめ:Executive summary

  • ディスラプティブなテクノロジーの出現やコロナショックによって、過去の成功の延長線上に次代の成長を描くことができなくなった。
  • デジタルによって企業活動のすべてを武装化するDXに、多くの企業が突破口を見出そうとしている。
  • DXを推進するためには、企業ITの刷新と人材のリスキリングが必要となる。
  • 必要なスキルを持つ人材は、足りなくなってから探すのではなく、事前に予測して準備する。
  • 経営戦略と人材戦略を同期させれば、市場の変化や競争環境の変化をリードすることができる。

戦略的リスキリングを経営戦略の一環として検討すべきときが来ている。